2009年8月10日月曜日

忘れてはならぬ夏

 今年もまた、苦い夏がやって来た。65年前(1945年)の夏、8月6日に広島、8月9日に長崎に投下された世界初の原子爆弾。広島14万、長崎7万の計21万人強の罪もない一般市民が犠牲になった。
 私が中学の頃、たまたま広島の原子爆弾落下直後の悲惨な光景を書き記したものを読んだ。そのことは少年であった私の心に深く、そして長いこと戦争に対する嫌悪の情を生むことになる。

 そして今年もまもなく終戦の日(8月15日)を迎える。私はこの頃になると、あの戦争は一体何であったのか。また、同時に平和という重み。命の尊さを考えずにはいられない。

 さて、8月8日、私は新宿住友ビル48階にある「平和祈念展示資料館」に行って来た。戦時の多くの資料があり、その頃の家庭や、戦地の様子を復元したジオラマなどもあって見る者の心を打つ。水戸黄門役の西村晃氏の戦争体験などもあった。

 私は拙著「日本讃歌」の中で、「知覧 戦時の生き証人」を書いたが、九州知覧にある「知覧特攻平和会館」は、1945年特攻隊員として若き命を終えた1035名の遺書、遺品等が展示されている。中でも出陣にあたって若者の心情をつづった遺書には、両親を残し先立つ自分を許して欲しいというものがあり、それを前に私は涙を禁じえなかった。
 悲しいかな恒久平和を希求する現在の人々の心とは裏腹に、時代は今、再び当時の危うい方向へと走っていると思えてならない。