2011年6月3日金曜日

四国への旅

 四万十の 流れトレモロ 沈下橋

 5月23日、東京駅9番ホームを滑るように発車した寝台特急「サンライズ瀬戸」は、翌朝7時08分には四国坂出に。そこから特急「しまんと3号」に乗り継ぎ土佐中村へ。途中、大歩危・小歩危の新緑風景や数万年前の地層がむき出しの岩肌を鑑賞した。また、山間にあった川のよどみに一瞬、何らかの生物がポツンと水面に作った輪が次第に大きくなっていくのを見て、河童を連想した。

 よどむ淵 ひねもす釣りたや 出て来い河童

 中村の手前で遠くに長く伸びる砂浜が見え、陸前高田の高田松原を思い浮かべた。今回の震災できっと高田松原は無残な姿になってしまったことだろう。そう思うと、この平野海岸は九州佐賀の虹の松原とともに貴重な砂浜になった。今の日本にはこうしたダイナミックな砂浜はいくつあるのだろう。
 土佐中村からはレンタカーで四万十川を北上。以前、飛行機で宮崎に飛んだ際に眼下に見えた四万十川だ。この日は高瀬沈下橋と岩間沈下橋で車を降りて、滔々と流れる四万十川を存分に堪能した。
 この日は宇和島駅にあるホテルクレメント宇和島に宿泊したのだが、時間が早かったので宇和島城に登ってみた。天守から宇和海が遠望出来た。街中ではじゃこ天を二枚食べたが、いつ食べてもここ宇和島のじゃこ天は天下一品。その後今夜の居酒屋を探す。街中にちょうど京都の高瀬川のような雰囲気の川があり、その川に面した居酒屋に決めた。数種類の貝類をつまみの冷たいビールは格別。旅にはこれがあるから楽しい。
 翌朝は伊予大洲に出た。大洲城は肱川の中州にある大きな岩盤の上に建つこじんまりとした城で品格のある城だ。また、この町はNHK放映の「おはなはん」や、「男はつらいよ」のロケ地として知られる。

 松山ではじゃこ天ソバを食べた。その後路面電車で18分の道後温泉まで足を延ばす。
 また、次の今治では昼時ということもあり桟橋近くの食堂で、冷たいビールを一杯、実にのど越しが良かった。 つまみには時期はずれのおでん。でも美味しかった。
 今では四国今治と本州、広島県尾道とを結ぶ「しまなみ街道」が出来て住民には便利になったのであろうが、旅人にはやはり海の旅が似合う。この日は友浦港、木浦港、岩城港、佐島港、弓削港、生名港と寄港し、因島土生港へ。ここで約1時間の乗り継ぎ時間があったが、次の便で広島県三原港へ。三原の夜は行きつけの居酒屋で懇親を深めた。