10月25日、一年ぶりで馬関火の山に立つ。
慶応2年秋、高杉晋作はこの馬関で自身の労咳と戦いながら14万の幕府軍を敵に、最後の気力を振り絞っていた。
おもしろきこと ここにあり 馬関の秋
東行の 心満たして 菊香る
春風に 誘われ登る 日和山
その結果、わずか四千の長州軍を率いた晋作が見事幕軍を打ち破り、以降、維新の歯車は一気呵成に新しい世に突き進むことになる。
私は功山寺のわずか80名足らずの挙兵から始まり、この馬関戦争に至るまで、彼の一途に国を思いやる心情と並々ならぬ精神力に頭が下ると同時に胸が熱くなるのを禁じえない。以前、TVの収録で島田紳介氏に「あなたはまるで高杉晋作の生き写しだ」と言われたが、心底この東行高杉晋作に惚れこんでいる。晋作の書物を読めば読むほど心熱くなる。
※東行庵前の駐車場にある清風亭の餡ころ餅は旨い。
10月26日 佐賀の多久聖廟に3年ぶりで訪れた。
早暁の 丹邱の里 花露満つ
敷地内の広場には全国漢詩コンテストグランプリの碑が10基ほど整然と並ぶ。その中に亡き母の「鞆の浦観漁」の碑がある。生前「もう一度行ってみたいね」「大丈夫、連れて行くよ」と言っていたのに残念ながら亡き人となった母。私は今回の訪問はそうした母の遺影を背負っての旅となった。きっと母も喜んでくれてると思う。
多久からは唐津線で唐津へ。以前列車から見た虹の松原の光景が美しく是非降り立ってみたいと思った場所。海に突き出した唐津城とあいまって美しい景観を織り成す。 この日のシメは小倉。今はJR九州を退社して旅行業と貿易商を営む友人に久々に会って懇談した。彼は翌日、厦門に旅立った。
10月27日 早朝の小倉城周辺を散策。150年前の馬関戦争時、一旦は火災にあった城。今は立派に復元され観光客誘致に一役買っている。市内の旦過市場は活気があり、ある鮮魚店の店頭で車海老一尾を剥いてもらい食べた。「こんなお客さん初めて」と言われた。
次にレトロな門司港散策。対岸の下関火の山が見える。思い入れの深いこれらの街を一通り見ての感無量の旅であった。