2011年9月9日金曜日

おわら風の盆

 例年九月一日から三日三晩、越中八尾で踊られる「おわら風の盆」。 胡弓と三味線の音色が何とも物悲しく奏でられる。
   なまめかし 白きうなじや 風の盆
   
   酔芙蓉 わが恋に似て 赤く燃ゆ

 「おわら」の語源について地元の人に尋ねたが知っている人は少なかった。諸説あるらしい。大笑いという言葉をはさんで町内を練り廻ったのがいつしか「おわら」になったというものや、豊年万作を祈念した「おおわら(大藁)」説、小原村の娘が歌い始めたからという「小原村説」など・・・
 私は風の盆に限らず、各地に残るこうした唄などにはやはり地名というか、出所をあらわすものが多いと考えている。この場合では小原村説が有力だと見ている。
 八尾では旧町「東新町」「西新町」「諏訪町」「上新町」「鏡町」「東町」「西町」「今町」「下新町」「天満町」「福島」の11の町にそれぞれおわら保存会が組織されていて、おわら風の盆はその支部ごとに日程を定めて行っている。
 私は二時間、かつては花街として賑わったという鏡町のおたや階段前で立ったままで踊りの進行を待った。途中、おりしも台風12号の雨が降って一面傘の花が咲き、開催が危ぶまれたものの、予定の時刻には幸いに雨も止みどうにか開催にこぎつけた。幽玄な、そして心に沁みる音色に満足した私であった。